イラク塗装のC-130が、星ヶ丘の上を舐めていく


 あの音を聞かない日は無い。重く低く響くターボプロップのエンジン音。見上げるとそこにはいつもずんぐりと無骨な飛行機がいる。その機体を彩る空色は、そいつとその乗員が、今、日本でいちばん「戦場」や「戦死」の近くにいることの証明だ。


 空色の飛行機が、名古屋市東部随一のオシャレスポット・星ヶ丘三越百貨店の直上を、舐めるようにかすめるように擦過して、基地に帰っていく。街路は着飾ったお嬢さんたちで埋め尽くされているけれど、空を見上げる人はまずいない。あの機はいったい、どこから小牧に帰ってきたのだろう?


自衛隊イラク派遣の違憲確認と派遣差し止めを求めた集団訴訟控訴審判決が17日、名古屋高裁であり、青山邦夫裁判長は、航空自衛隊が行っている現在のイラクでの活動について『憲法9条1項に違反する活動を含んでいる』との判断を示した。」(http://www.asahi.com/national/update/0417/NGY200804170005.htmlより引用した)

 今日、ある法廷が、「彼らは戦争をやっている」と言い切った。



 明日も、ターボプロップの重低音が聞こえ、空色の無骨な飛行機が現れ、女子大のお嬢さんたちの頭上をかすめて、そして小牧の基地に帰るはずだから、僕はそれを眺める。